
TOEIC900点ってどのくらいすごいの?
外国人とバリバリ仕事できるのかな…?



TOEIC940点の私が、リアルな英語力を解説します!
TOEIC900点はどのくらい希少?
TOEICの公式ページによると、2021年度の公開テスト平均スコアは611点、その中で895点以上の人は4.2%となっています。
そもそも公開テストを受ける人は英語に対する意識が高い場合が多いため、その中で上位4.2%に入るというのはかなり希少と言えます。


(参照:公開テスト 平均スコア・スコア分布一覧)
周りからの評価は?
TOEIC900点と言えば英語が不自由なく使いこなせるイメージを持たれ、周囲からは「すごい!」「英語ペラペラなんだね!」と褒められます。
仕事では海外関連の業務を多く任されたり、海外出張や駐在のチャンスが回ってきたりするかもしれません。
私は日系メーカーに勤めているため、社内でTOEIC900点はかなり珍しい存在で、周囲から英語のエキスパートとして扱われています。
しかし、実際にはTOEICで900点を取るだけでは全く英語はペラペラにならず、実力と評判のギャップに苦しむこともあります。
TOEIC900点の人はどんなことができる?
実際、TOEIC900点の人はどの程度英語の4技能(聞く・読む・話す・書く)を使うことができるのでしょうか?
帰国子女や留学経験者でなく、独学でTOEIC900を取った人ができること・できないことについて紹介します。
リスニング
TOEICのリスニングでは、ゆっくりはっきりと発音されたテスト用の音声が流れます。例えるならニュースのアナウンサーのような話し方です。
それに対し、実際の英語は話す人によって癖があり、スピードや発音も変化します。音同士が連結したり脱落したりすることも多くあり、CDのリスニング音声とは大きく異なります。
そのため、相手がこちらに配慮してはっきりと話してくれれば大体の内容を理解することができますが、ネイティブのナチュラルなスピードにはついていくことができません。
・TOEICやセンター試験などのリスニングならほぼ内容を聞き取ることができる(理解度:9割)
・海外旅行でお店やホテルの人との会話はほぼ聞き取れる(理解度:9割)
・非ネイティブの会話はほとんど聞き取れる(理解度:8~9割)
・ネイティブ相手でも、ゆっくりめに話してくれれば、なんとなく内容を理解できる。(理解度:7~8割)
・英語のニュースのおおまかな内容を掴むことがきでる(細かい内容は聞き取れない)(理解度:6割)
・洋画は字幕なしでは何を言っているかほとんどわからない(理解度:3割)
・ネイティブ同士の会話になると早すぎて聞き取れない(理解度:4割)
・こちらが日本人であることに配慮せず話してくるネイティブは何を言っているかわからない(理解度:4割)
・集中して聞けばは理解できる内容でも、1~2時間経って集中力が切れると途端に聞き取れなくなる(理解度:9割→3割)
やはり母語の日本語とは違い、英語は集中して聞かなければ右から左へ流れて行ってしまいます。
TOEICリスニングなら45分間だけ超集中して聞けば良いのですが、実際にはおしゃべりや会議が長引くと最後のほうは何を言っているかほとんど分からなくなります。
リーディング
TOEIC900点が取れた人なら、基本的な文法力や読解力は身についていますので、あとは主に語彙の問題となります。
一般的な単語やビジネス関連の用語は問題ありませんが、政治、経済、科学など専門分野の語彙は不足しています。
しかし辞書を使って単語を調べながらであれば、大体の文章は読めるのではないでしょうか。
(私の場合は読むのが遅いので、面倒な時はGoogle翻訳やDeepL翻訳などを使ってしまいますが…。)
・一般的なビジネスメールはほぼ理解することができる。
・英字新聞は少し難しいが、辞書を引きながら読むことができる。
・論文など専門的な内容も、辞書を引きながら理解することができる。
・英語を使ってインターネットで情報収集ができる。
・小説を読むのはかなり難しい。
・知らない語彙がまだたくさんあり、専門的な内容は辞書がないと読めない。
・日本語に比べて読むスピードが圧倒的に遅い。
読むのに多少時間はかかりますが、英語を使って世界中から情報収集ができるのは大きな強みと言えます。
スピーキング
「900点もあれば結構話せるのでは?」と思われがちですが、そんなことはありません。
スピーキングに関しては初~中級レベルで、言いたいことが言えず、常にもどかしい思いをします。
リスニングやリーディングなどのインプットは良くても、自分から話すといったアウトプットはTOEICの勉強だけではカバーできないのです。
この点は世間のイメージとかなりギャップがあります。
・自己紹介や簡単な文なら話すことができる。
・海外旅行で困ることはほとんどない。
・外国人に道を尋ねられたら、戸惑うがそれなりに対応できる。
・外国人と英語で楽しく交流することができる。
・事前に用意した英語のプレゼンテーションをスムーズに発表できる。
・アドリブでスラスラと英語が出てくるわけではなく、頭の中で文を組み立てながらゆっくり話す。
・文法を気にする余裕がなくメチャクチャな文になる。
・単語はたくさん知っているが、いざとなると出てこない。
・言いたいことはあるが、言える自信がないので諦めてしまう。
・複雑な内容はうまく伝えられない。
単語や文法はよく知っていても、会話の中でそれをスムーズに使いこなせるは別問題。
自信をもって話せるようになりたければ、TOEICとは別に英会話の勉強が必要です。
ライティング
ライティングもTOEICではカバーできないアウトプットの分野です。
しかし、スピーキングと違ってアドリブではありませんので、時間をかければ複雑な文章も作文することができます。
ただ、ネイティブが書くような自然な文は作れず、文法や語彙のミスも多少あります。
・基本的なビジネスメールを書くことができる。
・英語でレポートや資料を作成することができる。
・単語を調べながらであれば、どんなことも大体英文にすることができる。
・作文に時間がかかる。
・冠詞(aとthe)の使い分けや細かい文法の違いがよく分からない。
・日本語を直訳してしまったり、ネイティブからすると不自然な表現を使ったりしてしまう。
・気を付けていても文法のミスや誤用がある。
言いたいことは伝わりますが、ネイティブの人に添削してもらうと修正がかなり入ります。
非ネイティブとして、仕事でのメールのやり取りや資料作りは問題なくできるレベルではないでしょうか。
TOEIC900点は意味がない?



TOEIC900点取っても英語が話せないなら意味ないんじゃない?



たしかに900点を取ったからといって英語を使いこなせるようにはなりませんが、メリットはたくさんあります!
- 就活・転職でアピールポイントになる
- 珍しいので覚えてもらいやすい
- 仕事の幅が広がる
- 勉強の過程で基礎的な英語力が身につく
- 英語への苦手意識が薄れて自信がつく
TOEIC900点はあくまで英語を使って仕事をするためのチケットのようなものだと思います。
これを上手く活用することで、仕事の幅を広げ、自分自身の成長につなげることができます。
個人的には800点以上取ることができれば、すでに英語の基礎は身についており、チケットの役割を果たすことができると思いますので、そこから先はTOEICの点数を上げるのではなく、実用的な英会話などに力を入れていくのがおすすめです。



